漫画感想

【漫画感想】囚人リク

スマホアプリ「マンガBANG」で、囚人リクを読破しました。

概要

週刊少年チャンピオンで連載していた漫画で、無実の罪で投獄された少年「リク」が自由を勝ち取るまでのお話です。

舞台は日本ですが、隕石の衝突による災害と、その後の混乱で治安が乱れきった架空の世界となっています。
13歳の少年 栗田陸(くりたリク。回文)は、親のように慕っていた警官が殺されるところを目撃してしまいます。

犯人は政府の要職者。少年リクは逆に罪をきせられて「極楽島」という孤島にある監獄に送られてしまいます。

沢山の囚人を抱える極楽島で、イジメにあったりケンカをしたりしながら仲間を増やし、脱獄を試みるというストーリー。

感想など

途中までは週刊連載を追っていたのですがパッタリと読まなくなり(セコい話ですが、コンビニで立ち読みができなくなったため)、
序盤の「椿くん」との決着をつけたあたりで話が止まっていました。
時を経て完結まで読むことができて感謝です。

感想としては「敵が味方になった途端に普通の人になる」という少年漫画のお約束はあるものの、各キャラクターがしっかりと立っていて、ストーリー的にもダレる部分がなく非常によい作品だと感じました。
作品を彩るキャラのうち、印象に残った10名を紹介します。

栗田陸

主人公。主人公だけど魅力を感じませんでした。
正義感と根性はあるけど、特に突出した才能があるわけではない。でも多くの登場人物はリクを認めて、リクのために行動しているので、何か魅力があるんでしょう。私は最後までわかりませんでした。

佐々木レノマ

リクが極楽島で入った房のボス。すでに刑務所9年生の古株で、登場時はジャイアン(映画版ではない)系の暴君キャラでしたが、仲間になってからどんどん良い人になっていきます。
さらには、収監前から男気あふれる人物で、彼をボスと慕う仲間が監獄外にいるという過去情報も付加されていきます。

ストーリーの序盤だけクズ。それ以降とその過去は魅力的という、変なところに黒歴史があるアニキです。

彼の活躍ぶりは、もうこの人が主役でいいんじゃなかろうかと思うほど。
脱獄において腕力を必要とする部分は、ほぼこのレノマが何とかしていますし、外部との根回しも彼の過去の実績によるものです。

田中一郎

名前が適当すぎる革命戦士、39歳。「脱獄王」の異名を持っており、リク達の極楽島脱出作戦におけるブレインをつとめます。

登場時こそアウトローな中年男性でしたが、仲間になってからは屈指の常識人と化します。
レノマと並んで主役級の働きをする人物。ことあるごとに決めポーズをとる癖があるようです。
ジョジョでも読んだのかな。

椿陽平

正当派イケメンボーイかつ、リクチーム(脱走メンバー)最初の死亡者。中性的な外見、投獄のきっかけは妹を守るための行動から、その妹に会うために脱獄を決意するという、漫画的に極めて王道的な人物。レノマとは違った意味で、主役でも違和感のないキャラクター。
死亡フラグとは無縁のイメージをプンプンさせていたのに、妹に会うことなく死んでしまいました。
このおかげで「いつ誰が死んでしまってもおかしくない」という緊張感が生まれ、ストーリーのマンネリ化を防ぐのに一役買っていたかと思います。
(逆に田中一郎は死亡フラグを手当たり次第に折りまくり。)

江田史郎

リクチームのパワーキャラ。レノマと並ぶ強キャラながら、映画版のジャイアンのような男気を持っており、悪者しかいない(ように描かれる)序盤の極楽島における癒し。

レノマ株の暴騰についていけず、途中からは男塾の富樫、寅丸のようなポジションに収まりますが、人間味のあって好きなキャラクターです。

原田

極楽島の刑務官ながら、リク達の正義に感化されて協力してくれる人物。
途中、薬物の誘惑で鬼道院に懐柔されかけるものの、根性で乗り越えます。昨今のニュースを見ると、これがいかに大変なことかとわかります。自分だったら無理でしょうね。きっと。価値観が変わってしまうのでしょう。なので薬物、ダメ、ゼッタイ。

バトルキャラではないものの、帰宅途中に襲ってきたギャングチームをしれっと撃退しているあたり、プロフェッショナルの矜持を感じさせます。さりげなくかっこいい。

鬼道院

表向きは警視総監ですが、少年リクに無実の罪を着せた元凶。ラスボス。
腐った日本を憂い、囚人達を利用したクーデターを企てているわけですが、この漫画にはダメな大人がやたら登場する(特に権力者層)ため、奮起したくなるのもやむなし…という気にはなります。
ただ、首相暗殺とか、いささか手段が強引すぎたせいで悪役となってしまいました。正々堂々と政権とって世の中を変えていければよかったのにね!

剣崎進

鬼道院の抱える特殊部隊の隊長。細身で刀を持ったクールなイケメン。なのですが、ストーリー中で突然「母性」に目覚め、言動が変化します。
母性が強まれば強まるほど身体が大きくなるという、ひとりだけ別の漫画から出張してきたかのような特殊能力を持っています。通称、御母堂様。

内海

極楽島の刑務官で、脱走を企てる椿を勢い余って殺害してしまった人物。
物語終盤では頭のネジが吹っ飛んでしまい、トリッキーな行動でリク達を追いつめていきますが、なんだかんだで和解すると一転常識人になります。おぉぉい!?
ファーストネームはケンジ。うつみけんじ。ラオウか!?

藤本光

極楽島より過酷な環境の「地獄島」で刑務官をつとめる人物。
序盤で殉職した藤本吾郎巡査(おじさん)にそっくりの外見、鬼道院に向ける鋭い眼差しから
どう考えても藤本巡査の息子。極楽島に潜伏して復讐の機会を伺っているに違いない。
…という読者の予想を裏切り、実は藤本巡査の「娘」。体格はむしろ男性よりがっしりしているのに女性です。
そんな予想の裏切り方あるかー!?

上記以外にも、たくさんの魅力的な人物が登場します。
凄いのは、しっかりと書き分けができていることです。

まとめ

監獄が舞台という特性からか、基本的に男ばかり登場します。
キャッチーなお色気シーンもなし、BL要素もありません。
そんなわけで、印象に残る場面を切り出して目を引く、昨今の広告手法には合致しなさそうですが
安定したおもしろさを持った漫画です。
痛いシーンが苦手な人や、閉所恐怖症の人はつらいかも。そこだけ要注意です。


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